ここ一ヶ月ほどまるで発情期の猿のような生活をしている。これほど性欲に突き動かされて生きていたことは、きっと今までなかっただろうと思う。今はもう死んでしまった妻と結婚したばかりの頃だって、こんなふうではなかったはずだ。……当たり前と言えば当たり前だ。だって僕は、本当は妻のことをさほど抱きたかったわけではなかったから。
愛ってなんだろうか。僕は妻のことを、多分、きっと、愛していた。今でもそう思っている。結婚ってもんは、多分愛が大事だ。少なくとも僕は愛していない人間と結婚はできない。そしてその、結婚にいたる愛ってものの中に、情愛と性愛が結びついているのが普通なんだろうし、夫婦ってやつは、そうあるべきなんだと思う。
妻のことを、本当に愛していた。情愛をたしかに抱いていた。けれど僕は、妻に性愛をさほど持てなかった。子どもを望む妻を抱くくらいは出来た。けれど、それは僕のしたかったセックスではなかった。ただそれだけだ。本当に、それだけのことだ。
今、妻とは違う女をほぼ毎日抱いている。いや、女と言うにはあまりにも子どもだ。成熟した女とくらべて随分手足は細いし、首だって簡単に折れそうなほどひ弱に見える。腰だって両手で掴めてしまいそうだ。胸と尻の肉付きも、うすいように思う。彼女はいくつの時に”死んだ”のだったか。確か14、5歳頃だったと記憶しているけれど、年齢のわりに、彼女はあまり発育がよくないのかもしれなかった。
僕は、そんな彼女のからだが好きだった。出会ったときからずっとそうだった。成熟した女よりも、なによりも、僕は彼女のような、子どものからだを持つ女を犯したいと思っていた。こんなことはとても言えない。けれどいつか言わなければならない日が来るだろう。それがいつになるかは分からない。確実にわかることは、「絶対にその日がいつか来る」ということだ。
僕たちは壊れ始めている。彼女もきっと、それを分かっている。だから彼女は僕に抱かれてくれるのだし、僕は彼女を抱くのだ。
仕事から帰ったばかりの熱を抱えたまま、僕たちはシャワーも浴びずにベッドに縺れ込む。ここ一週間ほどはずっとこうだ。上着や服を雑に床に脱ぎ捨てては、朝になると後悔することを繰り返している。つむぎが自室で眠ることはほとんどなくなってしまった。けれどそんなことがどうでもよくなるほどに、僕たちは飢えている。お互いをむさぼるようなセックスしか、僕たちを楽にしてはくれない。
「んぅ、ちゅ、ふ、ぁ……オーナーさ、ん」
僕の蒸れた股ぐらに顔を埋め、ちいさな口と舌を使い、彼女は懸命に、グロテスクに勃起した僕のペニスに奉仕をしている。その動きはいまだにぎこちなく拙いけれど、僕の興奮を煽るにはあまりにも十分だ。
「オーナーさん、気持ちいい……?」
「すごく気持ちいいよ……つむぎ」
「よかったぁ、ん、じゅる、私、もっとがんばりますね……」
つむぎの舌が尿道をつつく。僕よりもうんと小さな掌が竿をしごく。僕の様子を時折目で伺いながら、裏筋を舐め上げたり、亀頭を唇で食んでみたり、じゅるじゅると音を立てて啜って見せる。これは僕が教えたわけではなく、単純に彼女の勉強の賜物だ。僕に気持ちよくなってもらいたいのだという。そのいじらしさが、僕の理性をぞわぞわと撫でては煽る。
「……つむぎ、もういいよ」
「え、でもオーナーさん、まだ……」
「うん。でもさ、つむぎ」
ここで出しちゃったら、君のお腹いっぱいにできなくなっちゃうかもしれないよ。抱き上げたつむぎの腹を、後ろから撫で回しながらそう囁いた。うるんだ彼女の瞳が僕を見ている。彼女がほんとうは死んでいて、身体に流し込まれたよくわからない機械に生かされていることを示した色の目が、僕を熱っぽいまなざしで誘っている。
つむぎのやわらかい唇に口元を寄せると、彼女は言われるまでもなくちろりと舌を出した。本当に小さな舌だ。僕とくらべて、彼女は何もかも小さい。そんな彼女の唇を、僕の乾いた唇が塞ぐ。子猫のような舌を僕の舌が蹂躙する。先程まで僕のモノをしゃぶっていたせいだろうか。ほんの少しだけ青臭さがある。シャワーを浴びてもいないからずいぶん臭ったことだろう。そんなものを、彼女は嫌がりもせずに愛おしげに扱っていたのだ。たまらなくぞくぞくする。
僕の口がでかいせいか、彼女の口端からはだらしなく唾液が滴っていた。普段の彼女なら「赤ちゃんみたいで恥ずかしい」と言って恥じ入るところだと思う。けれど今の僕たちはただのオスとメスで、そんなことにまで気を回せるほど理性的じゃない。微睡みに近いような、とろんとした眼差しと目が合う。子どものからだとは不釣り合いな、煽情的なまなざしだった。
つむぎのキャミソールに手を差し入れ、そのまま下着を押し上げた。つつましくもやわらかな肉がついた胸の先端で、桃色の乳頭が触れてほしそうに震えている。けれど僕はいきなり触れたりはしない。まず彼女の腹や胸を揉んだりして彼女の身体の柔らかさを味わう。彼女のからだはやはり少女そのものではあるけれど、しかし実のところ、僕に抱かれるようになってから少しずつ丸みを帯びてきているように思う。そういえばひと月の間の何日か、身体が普段より敏感なときもあるようだった。ああ、死んでしまってもそういうことがあるのだなと、心の隅のどこか冷静な自分が思う。そして同時に僕は、「この身体は僕が作ったのだ」という満足感を少なからず抱いていた。
口内を僕に犯されながら、つむぎがもどかしそうに太腿をすり合わせ息を漏らす。僕がいっこうに愛撫をはじめないことに我慢できなくなっていたのか、自分の手をショーツに差し入れようとしていた。僕はその手を掴んで止める。
「っふ……オーナーさ、」
「つむぎ、セックスのときは僕のことどう呼ぶんだっけ」
「ごめんなさ、いっ、きょうまさん」
「うん、いい子だね」
僕はまたつむぎの唇を塞いで、今度は彼女の乳輪をなぞるように人差し指で触れる。なるべく乳頭に触れないように、丁寧に焦らすのだ。すると彼女は腰を揺らしくねらせ、いまだ熱り立っている僕のペニスに尻肉を擦り付けるように動いた。きっと無自覚にやっているのだろう。本能でそう動いているのだ。僕という男を、死んでもいまだ残る強烈な本能で欲しがっている。思わず口角が上がる。この少女をめちゃくちゃにしたい。何度抱いてもそう思う。
彼女のショーツに指を掛けずり下げる。自分から腰を浮かせ脱がせやすくする彼女に、僕はご褒美をあげることにする。触れられることをまちのぞんでいた桃色の乳頭を、空いた手できゅっと摘んだのだ。彼女の身体がわずかに跳ねる。
「あぅ、っ!」
「つむぎ、ここ弱いよね」
「は、はい……ごめん、なさい」
「どうして謝るの?」
「こんな……わたし……いやらしくて……」
「……大丈夫、かわいいよ」
脱がせたショーツはすでにぐしょぐしょで、糸をひいていた。凄いねと囁くと、彼女はまるで、これをはじめて経験するように顔を赤らめる。
「もしかして、今日感じやすい?」
「わ、わからなぃ……です……、んん、ふぅ」
「へえ、そっか」
じゃあ、きっといつも通りだ。耳元に吹き込むように言うと、つむぎは吐息だけで喘いだ。
僕は彼女の秘部へ手を伸ばす。軽く触れただけで分かるほどに蕩けて濡れていた。ぐぷりと指を埋めると、熱い肉が僕の指を飲み込むように迎え入れる。
つむぎの中はあたたかく、そしてとても狭い。早くこの中に挿入りたいと思う。彼女を内側からめちゃくちゃにしたい。けれどまだ駄目だ。もっと彼女が、僕を欲しがるほどに蕩かしてからだ。膣壁をなぞりながらゆっくりと指を出し入れする。彼女の表情が快楽に溶けていくのがわかる。けれど絶頂に至るような刺激は与えない。ただひたすら、彼女を焦らすだけの愛撫を繰り返す。
「ぁ、あっ、きょう、まさん、きょうまさん……っ」
「なんだい」
彼女は喘ぎつつ何か言いかけたものの、口を噤んでしまった。ただ熱の籠った瞳でじっと見つめてくるだけだ。私の気持ち、わかってるはずでしょう?そう言いたげなまなざしだった。
僕は彼女の中の、指を曲げたあたりに丁度当たるざらついた場所を、指先で軽く引っ掻くように押し込んだ。瞬間、彼女の身体は大きく跳ね、背中が反れる。
「ひっ、」
身体を震わせて悶える彼女に、しつこく同じ箇所を刺激し続ける。彼女は自分の口を抑えようとするが、それを僕は許さない。手首を掴んで引き剥がした。
「声、我慢しないで」
「は、はずかしい……です……」
「つむぎの声を聞きたいんだ」
彼女は涙目になりながら僕を見上げている。恥ずかしくてたまらない、意地悪しないで欲しい、という懇願のようにも見て取れる。そんな彼女に追い打ちをかけるように、僕はトントンと内側から彼女の膣壁を叩きながら、掴んだ彼女の掌に何度もキスをする。
「あっ、あっ、あーっ、だめ、だめ……」
「何がダメなのかな。気持ちよくない?」
「ちが、ちがいます、う、あっ、わたし、わたし」
僕はまた彼女の唇を奪った。舌を差し入れ絡め、口内を犯しながら、僕は執拗に彼女の弱いところを責め続けた。
やがて彼女の太腿が痙攣を始める。もうすぐ達してしまいそうだ。僕は指の動きを速め、同時に乳首を強く摘み上げた。その瞬間、彼女の膣内は強く収縮する。
「、んん、ん、んー、っあ、あ、あ、あ、!」
彼女は仰け反り、びくんと大きく震えた。二度、三度と、彼女の中に埋めた指が締め付けられる。僕はそのまましばらく動かず、彼女の余韻が収まるのを待つことにした。
呼吸を整えた彼女の口元は、僕のものと彼女のものが混ざりあった唾液に濡れている。僕は彼女の口元を拭いながら微笑みかけた。
「……ご……ごめんなさい……」
「またそうやって謝る」
「……だって……わたしだけ……」
「そんなこと気にしなくていいんだよ」
だってこれから、僕も君に気持ちよくしてもらうんだからさ。彼女に覆いかぶさるようにして押し倒すと、彼女は誘うような、甘えたような、あるいは喜ぶような声で僕の名を呼ぶ。僕も彼女の名前を呼び返す。彼女の腿の間に僕の身体が割り込む。彼女は一切抵抗しなかった。ひくついた秘部が僕を誘っていた。
準備の整ったペニスを何度か扱き、彼女の狭い入り口に押し当てる。こういう関係になったばかりの頃は、念の為としっかり避妊をしていたものだったのだけれど、今の僕らにはもうあんなもの、ただの邪魔なポリウレタン製の何かでしかない。
到底挿入りそうにもない狭い孔だ。けれどいざ押し入れば、ぬるりと亀頭が飲み込まれていく。挿れただけで持っていかれそうになるほどの熱い肉が、ペニスにねっとりと絡みついてくる。それをこらえてぐっと奥に入り込めば、つむぎの膣はぴくぴくとわずかに痙攣した。思わず息が漏れる。小さなつむぎの中に、僕のものを全て収めることはできない。けれどその小ささが、僕をどうしようもなく興奮させる。
「は、……ごめんね、つむぎ。すぐ出るかも」
彼女を見遣ると心ここにあらずと言った様子だった。小さく悲鳴のような喘ぎ声を上げながら、うっとりと震えている。僕の言葉も聞こえていないのかもしれない。指であれほどよがっていたのだから、それよりも質量のある熱をねじ込まれたなら当然の反応ではあるのかもしれなかった。ほんの数ヶ月ほど前までは、彼女がこんなにも淫らに乱れるとは思いもしなかったけれど……僕たち、相性がいいんだね。僕は彼女のまぶたにキスを落として、ゆるく抽送を始める。
「つむぎ、好きだよ」
「っ、わたしも、すき、叶馬さん、すき……」
つむぎは僕の名前を呼びながら喘ぐ。彼女の腰を掴み、ゆっくりと揺すったり、打ち付けたり、次第に動きを大きくしていくと、それに合わせて結合部から水音が響く。それが更に興奮を煽ってくる。
「んっ、あ、あっあっ、あぅ、」
「気持ちいい?」
彼女は何度も首を縦に振る。彼女はシーツを握りしめていた手を離すと、僕の背中に腕を回そうと手を伸ばした。彼女の引っ掻き傷が山ほどある僕の背中。僕と彼女が繋がっているもうひとつの証だ。
彼女の身体を抱きかかえるようにして密着すると、中が一層狭くなった。お互いの鼓動が聞こえそうな距離で、僕も彼女も、荒い呼吸を繰り返す。汗で湿った肌が吸い付くように触れ合う。つむぎからは目眩がするほど女のにおいがしていた。
「あ、あーっ、あぁっ、んっ、叶馬さん、きょうまさ、ん」
昨日つけたばかりの引っ掻き傷に、つむぎが爪を立てる。鋭い痛みも、今の僕にとってはただただ快感を誘うものでしかない。神経を直接撫で上げられたようなぞわぞわとした感覚が登ってくるのが分かる。
「っ、つむぎ、出すよ」
「あっあっあっ、なか、出して、くださっ、あぁあっ、」
ひときわ強く腰を叩きつけると、大きな痙攣とともに彼女は果てた。同時に膣内がきゅうと締まり、僕は彼女の中に射精する。どくどくと脈打つように彼女の膣が収縮し、それはまるで、貪欲に精子を欲しがっているようだった。僕はそれに答えるように、つむぎの腰をつかんでぐりぐりと押し付けた。吐息とともに「あ、あ」と小さく喘ぐ声が聞こえる。細かく何度も達しているのかもしれない。
僕たちは繋がったまま抱きしめあって、息を整える。一度昂ぶった熱が少しずつ引いていくのがわかる。熱いほどに感じていたつむぎの体温も鼓動も、少しずつ落ち着いてゆく。本来ならここで「よかったよ」だとか「気持ちよかったよ」などと言って相手をいたわってから、シャワーを浴びるなり、ピロートークにでもしけこむのが普通だろう。
けれど僕たちはもう壊れている。少し熱が引いたところで、まだ足りない。まだつむぎが欲しい。彼女もきっとそうだ。
僕がただペニスを引き抜いただけで、彼女は僕の意図を理解したらしい。つむぎは何も言わずに四つん這いになった。充血して熟れた肉が物欲しそうに濡れている。僕は彼女に後ろから覆いかぶさって、陰核に亀頭を擦り付けながら彼女のうなじに吸い付く。僕たちが繋がった最初の証が、彼女のうなじにはある。僕はいつもそこに、わざと跡が残るようにしている。
つむぎはじれったそうに僕のペニスに触れ、自分で挿入しようとしている。けれどうまく入らないようで、亀頭だけが浅く出し入れされるばかりだ。僕はつむぎの手の上に自分の手を重ねて、一緒にペニスを支えてやる。そしてそのまま、一気に押し入れた。
つむぎは悲鳴にも似た甲高い声で喘ぐ。穿くように奥まで押し込むと、今度はゆっくりと引き抜いていく。つむぎの膣は僕の形を覚えているようだった。ぴったりと隙間なく絡みついてくる。
「は、……すごいね、つむぎ……僕以外のもの、もう入れられないね……」
つむぎは答えない。枕にしがみつきながら、呻くように喘いでいる。僕はそんな彼女にくだらない支配欲を満たされながら、彼女に先程つけたうなじの跡に触れる。擦るように指を這わせると、つむぎはこちらに顔を向け、泣きそうな、あるいは恨めしそうなまなざしを向ける。僕は「ごめんね」と笑って彼女にキスをして、直後激しい抽送運動を始めた。
彼女の細い腰を抱え込んで、何度も突き入れる。破裂音のような水音が部屋に響く。
「あっ、あっ、あっあぁっ! んっ、ふぅ、ぁう、っ、あっ!」
「つむぎ、つむぎ……」
僕は夢中で彼女の名前を呼ぶ。彼女は僕の名前を呼んでいるだろうか?よく分からなかった。快感に呑まれているせいか、つむぎは先程からずっと交尾する獣のような声を上げている。けれどどうでもいいことだ。もしかすると、僕だってまともな言葉を発していないのかもしれない。今はひたすらに、彼女を蹂躙したかった。彼女の身体も心も全部、僕だけのものにしたい。いや、きっともう、僕のものだ。それをこの少女に深く刻みつけないといけない。何度も何度も。
彼女の子宮口を押しつぶすように深く突いてやると、そのたびに中が僕を求めてうねる。射精を促しているのだ。
つむぎの背中は汗でじっとりと濡れている。僕はそんな彼女の背筋をなぞって、それから両腕を掴み上げ後ろに引き、腰を打ち付ける。つむぎの身体が弓のように反り返った。無理矢理犯しているような気分になる。少し乱暴だけれど、つむぎの足先はぴんと伸び、がくがくと震えているのが分かる。絶頂が近いのだ。僕は更に激しく腰を打ち付けながら、彼女の耳元である言葉を囁く。
「つむぎ、■■■■■」
瞬間、膣全体が収縮し、痙攣するように細かくうねった。
「あー、!ーっあ、ーー、っ、ー!!!!」
つむぎは何度か足をばたつかせながら達した。子供が駄々をこねているときのようだと思う。両腕を開放してやると、彼女の上体はベッドの上に崩れ落ちた。シーツをきゅっと掴み、ふうふうという呼吸を繰り返している。僕も射精しそうになったけれど、なんとか堪えた。あともう少し。僕はもっと、これより深く繋がって、彼女の中に吐き出したい。
つむぎは肩を大きく上下させながら呼吸を整えていた。けれど休ませてやるつもりはない。つむぎの背中に体重をかける。逃さないようにするためだ。まだ息は荒いままだが、つむぎもそれを受け入れるように、尻を押し付けるようにして突き出した。
「あ……きょ、…まさ……、わた、し」
つむぎが何か言っている。けれど僕はそれを無視して、抽送を再開する。何度も達しているのに、つむぎの中はまだ僕のペニスを求めているようだ。僕が動くたび、彼女の膣壁が締め付けてくる。僕のものを少しも離そうとしない。こんなに求めてくれて嬉しいよ。きっと今の僕はひどく気色の悪い顔をしているだろう。彼女がこちらを見ていなくてよかったと思う。
僕の下でただ翻弄されるつむぎが、壊れそうなほどに喘ぎ狂っている。その声が僕の腹にも直接響いているように感じる。そんな些細なことも、僕にとってはくすぐるような快感のひとつだ。彼女と本当にひとつになれている気がする。ぐぽぐぽ、くちゃくちゃという水音すら邪魔だと思う。僕たちの間には何も入るべきじゃない。つむぎもそう思うだろ?僕はそんな感情をこめて、潰れそうなつむぎの身体に構わず、何度も何度も腰を打ち付ける。
「つむぎ、っは、また出すよ」
「ん、あ、ぅ、あっ、あっ、は、はぃ、くださいぃ、わたしのなか、いっぱい、あっ、あっ、あ!」
精液が尿道を駆け上がるのが分かる。とうとう耐えられなくなり、腿を閉じ震えるつむぎに構うことなく、僕は全体重でつむぎの膣内にすべてを押し込み、そして射精した。先程よりも長く続く射精感に、思わずため息が漏れる。つむぎが余韻でぶるりと尻を震わせるたびに中がきつく締まるので、トロトロとした射精がいつまでも止まらないような気さえした。それを、僕はつむぎの奥へ奥へと擦りつけるようにする。彼女は僕のものだという証を、内側からしっかりと擦り込まないといけない。
ようやく射精が終わりペニスを引き抜くと、つむぎの中からどろどろとした白濁した液体が、糸を引いてこぼれ出た。「あぁ、すげえ出た、」なんて間抜けな言葉が出てしまう。ティッシュを取って拭いてやると、つむぎは「あっ、」と小さく声を漏らして、だるそうに上体を起こして僕の顔を見遣った。困ったような恥ずかしいような、そんな顔をしている。
僕はそんな彼女にキスをした。唇に触れるだけの、柔らかいキスを。
「つむぎ、好きだよ」
つむぎははにかんで答えなかった。さっき乱れていたときはあんなにも素直だったのにな。けれどその代わりに、僕の頬の傷痕にキスをしてくれた。僕にはそれで、十分だと思った。
『叶馬くん▲てさ、■んまりエッチ好きじゃ★いよ◆?』
「何で?べつに普通だと思うけどな」
『本当に?で★昔の彼%はしょっちゅうもっとし@いって言ったけど◯ぁ』
「おいおい、旦那に昔の男の話するなよ」
つむぎが横で眠っているのに、今日の『幽霊』もおしゃべりだ。まるで隣にいるように語りかけてくる。幽霊は僕が言葉に出してやらないと納得してくれない。いつまで経ってもしつこく僕に話しかける。だから僕は幽霊が拗ねてしまわないように、ちゃんと会話をしてやるのだ。
『幽霊』は、あるときは妻だったり、あるときは娘だったりする。幽霊と言ったけれど、姿は見えない。ただ声だけの存在だ。僕にオーナーの適正が出て、身体にバケモノの戦うためのナノマシンを入れてから聞こえるようになった。本部の医者が言うに「副作用だろう」とのことだが、僕の頭が単純におかしくなっている可能性だってある。なにしろ最近は、いろいろと大事なことが、いつの間にか僕の頭から抜けていく事が多くなっている。
以前はせいぜい「おはよう」だとか「おやすみ」だとか、そういう短いワードがぼんやりと聞こえてくるだけだったのだけれども、時間が経つにつれ幽霊の声ははっきりと、ちゃんと文脈のある言葉を僕に投げかけてくるようになった。急速に悪化したのはいつからだったか。二、三ヶ月ほど前だろうか?
……多分、つむぎを初めて抱いた日からだ。
『ふふ。ね■、嫉妬し●?』
「ちょっとね」
『そんな#と言って。叶馬$んが私の&と大好きなのは●ってるんだから』
幽霊は得意気に笑う。ここで照れ臭そうに笑うべきだったのかもしれない。けれどそんな気にはなれなかった。僕は幽霊の言葉に曖昧な返事をして、つむぎを起こさないようにやさしく抱き寄せた。あたたかくてやわらかい。そろそろ僕も眠れそうだ。
『◎ぇ、叶%くん。私のこと*してる?』
すうすうと寝息を立てるつむぎの髪を掬い取って口づける。すき通るようなきれいな髪だ。
「愛してるよ」
ごめんな。僕はもう、君とどんなセックスをしていたのかを思い出すこともできない。
